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音処探訪

00/06/04「オーディオ・ワールド2000」

オーディオワールド 6/3、4の二日間、東京秋葉原駅前ラジオ会館8Fホールで行われたオーディオ・ワールドに行ってきました。A&V village誌が中心となって開催する催しです。「ワールド」とはいかにも大げさですが、「オーディオの世界を満喫しよう」ということなのでしょう。世界的な商品などほとんどありません。ただ、マイナーメーカーの熱い思いは伝わってきますし、私は嫌いじゃありません。

 ラジオ会館の8Fに行ったのは故長岡鉄男氏のスピーカー試聴会以来ですので、もう6〜7年ぶりと思います。同じ秋葉原で毎年9月に開催される真空管オーディオショウにも似た雰囲気でした。展示会場も3箇所あった試聴会場も広くないこともあって、人、人、人。あちらこちらのブースから再生音が聞こえますので、試聴環境は予想通りよくありませんでした。

 出店はスピーカーユニット販売でお馴染みのコイズミ無線、マスタークロックLclockが興味深いサウンドデン、ローゼンクランツブランドのカイザーサウンド、Airbowブランドの逸品館、パワーエクストラを開発した相島技研、熱研商品の発売元 クリプトン、ハーモネーターSH-20Kで有名なフィデリックス、並行輸入の雄 ロビン企画、ご存じ江川工房などなど。非常に興味深い製品もいくつかありました。

 詳細はA&V village誌に掲載されるはずです。私が興味を持って聴いたものだけ簡単に紹介しましょう。

 まず、CDで切り捨てられた20KHz以上を120KHzまで修復するハーモネーター「SH-20K」のフィディリックスから。試聴スピーカー、モノプリメインアンプ共にビクター製品、CDプレーヤーはCECのベルトドライブ機「TL5100」です。SH20K

 ハーモネーターを加えたシステムを聴くのは別に初めてではありません。ただ、この機械がどうしても必要だと感じたことはありませんでした。今回もその感想は変わりません。
 「ハーモネーターなしではCDは聴けない」というのはA&V village誌ではよく見る文言です。ハーモネーターを通す、通さないのAB比較でも、確かにふわっとした微妙な雰囲気の差はあります。言葉が適切でないかもしれませんが、微妙なにじみがあるのです。ただ、それがどうかと言われると・・・自分が高域に疎いせいでしょうか。ダイナミズムが圧縮されている感じも別に受けませんし、キンキンと響きわたる気もしません。なくてもCDは十分楽しめます。
 もっとも、静かなところで、そして自分のシステムでハーモネーターを試してみたい気はすごくします。中古品を結構見かけますが、欲しくなるんですよね。メインスピーカーに足す気はないのですが、例えばマトリックス結線にしたときに、リア側にだけハーモネーターを効かす、といった使い方はどうなのでしょう。
(オーディオワールドは6/3、4と開催され、ハーモネーターについては2日目も聴いてきました。同じ部屋でしたが、昨日よりはるかに状況が良く(扉を閉め、静かだった)、その効果もわかりやすかったのです。これはホールトーン豊かなクラシックや弦楽器のようにそれ自身が共鳴する楽器を楽しむ人にとってはたまらない機械だと思いました。これを心地よいと感じるのは十分納得できます。)

 フィディリックスに続き、一部Web上でも話題のシナジスティックリサーチ社のACパワーケーブル3機種(ACマスターカプラー(写真)、リファレンス・ACマスターカプラー、スクエア)の試聴です。ACマスターカプラーCECのベルトドライブCDプレーヤーのケーブルを差し替えました。よく目にはするのですが、聴くのも(そして触るのも)初めてです。
 時間が短く、実力が発揮されていない気もしましたが、3品とも好印象。特に高域のヌケや色彩感は値段通りに向上する感じです。CDプレーヤー付属品<ACマスターカプラー<=リファレンス<スクエア、という印象。
 ただ・・・これは我が家に来ることのない名品なんです(聴いてしまうとスクエアが欲しくなるしね)。理由は値段ではなく、(特にスクエアは)固すぎるから。家庭では引き回しは重要な問題なのです。パワーアンプに使うなら、結構きついS字に曲げなきゃいけないもんなあ。

 逸品館とカイザーサウンドの合同プレゼンテーションもありました。スピーカーは38cmウーハーとトランスミッションライン構造を持つ、あのPMCのフラグシップ機「BB5-P-BA」! 我が家での購入は不可能な現実離れした大きさ(432W×1040H×790D(mm))ですが、大型スピーカーの中では私のお気に入りの1台です。他は逸品館のブランド、Airbowの商品(CDトランスポート:TL-1X(改)、DAC:DAC-1.Spec2000、プリメインアンプ:Type-1.Spec2000)でした。スピーカーの足元はカイザーサウンドのブランド、Rosenkranzのインシュレータで固め、スピーカーケーブルはS/A LabのHiend-Hose、その他ケーブルは逸品館オススメのAural-Symphonics製品で接続してあります。

CLT1 ここでの何よりはAirbowの補助ツイーター「CLT-1」でしょう。これも聴くのは初めてではありません。以前から好印象を持っていました。
 CLT-1は波動式というカーボンパネルを磁石により励起される振動子で駆動することにより、カーボンパネルが波動モーションで振動し空気を圧縮、音波を発生するというものです。ネットワーク内蔵のため、PMCとはただパラレルに接続しただけの様子。
 短い時間ですが聴いてみると・・・いいですねえ、相変わらず。高音がどうこう言うわけではなく、アコースティック楽器の生々しさが向上します。アタック感の改善をうたい文句の一つとしているだけあって、その切れ込みの良さは雷鳴のSEも聴きましたが、PMCの低音再生能力の高さと相まって、雨雲の雰囲気が察せるようです。これでペア13万円というのはいい買い物だと思います。AE2Signatureの上に置くことに抵抗がないわけではないのですが、はっきり言ってCLT-1、欲しいです。

カイザーサウンド カイザーサウンド単独の試聴にも参加。ケーブルやインシュレータなど興味深いです。特に数日前にインシュレータ「PB-REX」を都内の中古店で見かけ(1/3の値段だった!)、買おうか買うまいか悩んでいるうちになくなってしまったという記憶が・・・。
 白い楓材とケーブルの太さばかりが目立つシステムで試聴を開始します。スピーカー、アンプ、ケーブル、そしてラック、スタンド、インシュレータ、他アクセサリーはRosenkranzブランドのオリジナル品でした。
  実は今回のショウで一番意外だったのはこのシステム、予想外に良かったのです。思えば、広島のお気に入りジャズ喫茶「サテン・ドール」のシステムもRosenkranzのアクセサリーでチューニングされていましたっけ。

 「電気的時間軸」と「振動的時間軸」を整える、という主張はよくわからないところもありますが、「長所を伸ばす」という店主の言葉には共感するところ大です。実際、この10cm足らずのジョーダンワッツ製のユニットが伸び伸び鳴る!
 有名なオスカル・モテット聖歌隊の「カンターテ・ドミノ」、元々録音の良いCDですが、この天井への広がりは何でしょう。間接音が描く空間の深さ、オーディオで言うヌケの良さが際立っています。他のソフトも同様です。マイルス・デイビスもまあ、清々しいこと。ただ、このトランペットが「薄い」と捕らえられることもあるでしょう。寺島靖国氏もオーディオアクセサリー誌の文中でカイザーサウンドの音を「物足りない」と書いておられましたし。ホーン好きの人には相容れない感じです。
 右上写真でもお分かりの通りのやたらに太いオリジナルの電源ケーブルは、触ってみると意外に柔らかく、引き回しはよさそうです。1.05mを特注し、CDトランスポート用にどうか、などということが頭をよぎります。なぜ1.05m? それは「105」という数字に店主がこだわっておられるからです。
 そうそう、A&V village誌2000年3月号にも紹介記事のあった「スピーカー・アタッチメント」も試しました。スピーカー端子とケーブルの間に挟み込む変な代物。記事については全く信用していませんでしたが、右Chだけアタッチメントを外してみると・・・あら不思議、右Chの音量が落ちたような印象を受けます。音像が左に寄る感じです。ふんわりとした音場が遠のいてしまいます。アタッチメントの中身は長さ10.5cm(105、ですね)の径の違う4本のケーブルだというのですが、不思議なものです。
 商品は貸し出ししてもらえるそう。安い製品はあまりないので、実際試されてみたらいかがでしょう。

 最後は、このショウで一番効果を確認したかったサウンド・デンのマスター・クロック・ジェネレーター(写真)についてです。普及型の「C2」と上級の「XO」があります。
 これ単体では音にならないのですよ。CDプレーヤーに内蔵させ、水晶発振器の精度を向上させるパーツです。今使っているエソテリックのP2sに積めるとわかったときから、やってみたくて仕方がありませんでした。その効果が店のある広島に行かなくとも確認できるのです。ありがたやありがたや。
 P2sのジッターがいくつなのかは知りませんが、店主曰く「あのP0でも50ppm」というのです。普及型の「C2」でさえ、2ppmというのですから言わずもがなですね。エソテリックのフラグシップ機 P0のマスター・クロックと今回試聴したケンブリッジ・オーディオ製CDプレーヤーのマスター・クロックは同じものだとも言っていました。120万円の機器と7万円の機器で同じもの・・・?

 で、ケンブリッジ・オーディオ D300のオリジナル(A)、C2を積んだもの(B)そしてXOを積んだもの(C)の比較試聴です。その他機器はすべてサウンド・デンの手が掛かっています。
 初日は立錐の余地もないほどの狭い試聴部屋での立ち聞き。その上、ドアもオープンの状態で条件はよくありません。ひいき目ですが、その音は A<B<=Cと思いました。もっとSNの良い(そして人のいない)所でなら、はっきりとわかったはず。解像度が高くなったときに感じる明るさが印象的です。これは聴き慣れたソフトで聴いてみたい・・・。

 やはり効果をもう一度確かめたく、2日目もブースを訪問、聴かせてもらうことにしました。ただし今度は小部屋ではなくブースでの試聴です。うるさいことにはかわりありませんが。
 ニアフィールドでの試聴です。試聴曲はAlgum / Dai Niiokaから1曲目の「Opus310」。生ギター一本の曲ですのでごまかしようもないでしょう。
 その結果、ギターのボディを指で叩く音の張りや弦をつま弾く質感がクロックアップしたBあるいはCの方がよいのです。

 「XO」を取り付けた場合、本体は25,000円、工賃は50,000円です。工賃が高い気もしましたので店主にいろいろとお話をうかがいました。要約すれば(1)気に入らない場合はお金を返却し、機器も元に戻す。ただし100機以上やって、戻して欲しいという人はいない、(2)修理等でメーカーに出すときの対応も費用に含んでいる。アフターサービス代込みの値段である、(3)取付は一週間もあれば十分、ということでした。サウンド・デン特別チューン品と専用電源を積んでも10万円ほどというのは魅力的です。外見が変わらなければ妻にもばれないし、ねえ。
 出張ついでに広島の店に行ってみようかと本気で思い始めました。

 全体的にオーディオ・ワールド良かったですね(70点くらい)。どこでも置いてあるメジャー品とは違い、なかなか味わえない製品に一同に巡り会えたのは大きな収穫でした。手際が悪いとか、会場が狭いとか、出店が多すぎるとか難点を上げればいくつもありますが、今年は1回目。それも今後は改善されていくでしょう。


 改めて自分のオーディオ・ワールドの感想を見返しました。あれも欲しい、これも欲しいで節操のないこと。合コンにいって「みんなかわいかったア」と言っているようなものですね。まあ、それはそれで幸せなひとときなので良しとしましょうか。

 というわけでオーディオ・ワールドの番外編です。

 実は聴いてみたかったけど叶わなかった商品がいくつかあります。
 一つ目は逸品館の小型アンプ「Little Planet」です。ブースでは鳴らしていたようですが、よく確認できませんでした。
 次に熱研の一連の商品。時間の関係で、デモに参加できなかったのです。アンプとスピーカーの間に入れるOdBアンプ「Power Extra」は効果を確認してみたかったのに、残念です。貸出機もあるそうですが・・・。その他にもきっと制振合金「Black Metal」や制振ネジのデモもあったんでしょうねえ。
 しかししかし、それにも増して悔しかったのが熱研のブースであのDSIX(デジタル・シグナル・アイソレーション・エキサイダー)が商品化されると知ったことです(これのデモもあったらしい)。DSIXについてはまた別途書きましょう。すごく簡単にいえば電源の必要なデジタルケーブルのこと、なのです。

 ロビン企画では米国LEVITON社の真っ赤なコンセントを購入。当社でも通常3,800円の商品が2,000円でしたので安かったですね。実はロビン企画に寄らず、各ブースでもっといろいろな商品が販売されているのかと思っていたのですが、さにあらん。これは残念でした。
 商品購入の際、ノートに住所を書いてきたのですが、私の上の欄にはジャズの御大、寺島靖国氏のお名前が! 実は見上げたらすぐそこにいらしたのですが、見た目が怖くて(!)声をかけられませんでした。私をジャズに導いてくれた人です。お近づきになりたいものです。
 LEVITON社の真っ赤なコンセントは家に帰って、CSEの定電圧電源FP500に半ば強引に取り付けてしまいました。正直、既製品の改造は気が引けたのですが、やってしまったものは仕方ないですね。赤色が黒い機器を引き立て、ぐっと高級感が増したような気がするので不思議です。

 最後に。
 オーディオ・ワールドでは来訪者全員がくじを引くことが出来ました。私、めでたく「金さん(Setten79)」をゲット! プレゼント用の内容量0.5ml品だと思うのですが、それでも買えば高価な品物(というより少量では購入できない)。何でも参加はしてみるものです。
 また、今回のオーディオ・ワールドは本ホームページ上で知り合った方と同行させていただきました。こういったコミュニケーションがはかれるというのはとても嬉しいものです。Tさん、ありがとうございました。


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