Accessory追跡調査にも試聴ソフトを記するようにしています。ソフトによって音色の変化がわかったり、わからなかったり、あるいは妙に心地よさを感じたり、そうでもなかったり、とにかくいろいろなことになるからです。
生楽器やホールトーン豊かな録音が、その判断に向くというのは理解できますが、普段聴かないソフトを機器やアクセサリー類の判断に使っても仕方がないと思っています。オーディオ店で自分のソフトの持ち込みをせず、「ピアノ曲を」とか「ジャズで」とか、選曲にかなり漠然とした注文を出す人を多く見かけます。それでなくとも不確定要素の多いオーディオ機器の試聴で、始めて聴くようなソフトから何がわかるのか、ちょっと不思議です(一方的に選曲される試聴会もそうですけどね)。私などは聴き慣れないソフトでは録音が良いのか、部屋がいいのか、機器がいいのか判断に困ることがあります。まあ、そうはいっても、一聴しただけで自分の心を捕らえるようなそんな状況に巡り会ってみたい、そんな気もします。オーディオ雑誌ではクラシックやジャズがその評価の中心になっています。オーディオショーでもそうですね。洋邦楽好きの私がジャズを聴き始めたのは、当時のシステムからは出すのが難しかったブラシの鮫肌のような触感やベースの重く甘い音色に憧れたことことが第一ですが、オーディオ店やショーで聴くジャズに「有名どころのソフトくらい聴いておかないと機器の善し悪しも判断できない」と思いこんだせいもあります。
最近は積極的に聴き回っているせいか、試聴会でもショーでも、全く初めて聴くという曲は半分くらいに減りました。それでももっと聴いてみたいという機器の試聴には自分のリファレンスディスクが欠かせません。
と、言うわけで雑多な前振りとなりましたが、手持ちのディスクをご紹介しましょう。
古内東子 / TOKO best selection
Sony SRCL4189 / 3,059円(1)はやくいそいで (2)誰よりも好きなのに(Album Remix) (3)Peach Melba (4)キッスの手前 (5)Slow Down (6)うそつき (7)Strength (8)かわいくなりたい (9)逢いたいから (10)歩き続けよう(Album Version) (11)Distance (12)いつかきっと (13)幸せの形(Album Version) (14)星空
美人じゃないけど(失礼!)OLの教祖、古内東子の初のベストアルバムです(1998年発売)。ベスト盤とはいいながらシングルヒットした「宝物」も「大丈夫」も入っていません。ここらへんにこだわりを感じます。14曲中7曲はアルバムの中の曲なのです。
このアルバムは実は知人が試聴用として聴いていたのをすっかり気に入って購入したもの。それまでは古内東子という存在すら知りませんでした。
ソウルフルではなく、ささやき系でもなく・・・何系でしょうね、切ない恋愛<つぶやき>系なんですよ。ユーミンと同じように自分の意志で曲を作っている感じがするため、曲調にばらつきを感じません。質のいい音、緻密な音楽性が両立しています。
初期のナンバー(1)(4)(5)(9)(11)はリミックスされたもの。そして全体のマスタリングはバーニー・グランドマン。どうです、ちょっと期待できるでしょ? ユーミンを感じさせるのはマスタリングのせいもあるかもしれません。
中心となる試聴曲は(9)(10)(14)。アレンジャーやミキシングの違いが明確です。
古内東子 / 魔法の手
Sony SRCL4346 / 3,059円(1)だいすき (2)雨降る東京 (3)魔法の手 (4)くちづけを待ってる (5)心にしまいましょう (6)シャワールーム (7)ぎりぎりまで (8)銀座(ginza version) (9)ずっと一緒に (10)淡い花色
古内東子 2枚目のCD紹介ですね。先行シングル「心にしまいましょう」を収めた古内東子の7枚目のアルバム。全10曲中4曲が打ち込み中心の東京でのレコーディング、残りの6曲がアコースティック中心のアレンジでロサンジェルス録音です。
「TOKO Best selection」と同じく全体のマスタリングはバーニー・グランドマン。ユーミンやホリー・コール・トリオ、アマンダ・マクブルームのCDにも名を連ねますが、(私は聴いたことがないのですが)マイルス・デイビスの「カインド・オブ・ブルー」完全版LPのマスタリングでも有名です。全体的にサラッとしていますが、暖かみのある音色だと思います。
中心となる試聴曲は(8)の「銀座」。生楽器はいわゆる重ね取りですが、ボーカルと彼女自身のコーラスの重なり方は絶品です。「銀座の恋の物語」以来の「銀座」を歌った名曲と思っています。
成就するのかしないのか、そんな恋愛の痛気持ちよさが味わえるアルバムです。ただ、選曲だけからすれば私はベスト盤の方が好きなのですが(^^)。
倉木麻衣 / delicious way
GIGA GZCA-1039 / 3,059円(1)Delicious Way (2)Love, Day After Tomorrow (3)Secret of my heart (4)Stepping ∞ Out (5)Baby Tonight 〜You & Me〜 (6)Can't get enough 〜gimme your love〜 (7)NEVER GONNA GIVE YOU UP (8)Stay by my side (9)Everything's All Right (10)happy days (11)君との時間
おそらく邦楽では2000年度No.1の売り上げを記録するであろう倉木麻衣の国内デビューアルバムです。(2)(8)(3)(7)(発売順ね)とシングル曲が4曲も入っているのでお買い得なのは間違いありません。シングル曲とその他の曲の格差が少ないので、益々オトク。これはちょっと、という曲がほとんどないのです。作曲は別人とはいえ、10代のシンガーにしては珍しいのでは? 昨年末に発売して、6週目にベストテン入り、そして現在もオリコンにチャートインしている(2)のレコーディング当時は16歳ですからねえ。
初回限定なんとかと、銘打たないのもGOOD! 選曲もGOOD! 凝りすぎず、それでいて大事に扱いたくなるビニール印刷のジャケットもGOOD! かわいいじゃありませんか、この写真。(まるっきりオヤジだ・・・)
ずいぶん誉めますけど、私、この小娘に久々にクラッときています。発売初日に買ったアルバムなんて誰以来でしょう。山下達郎氏のアルバムだって、サザンだって初日には買いません。Jazzのアルバムなんて半年くらい傍観するものはザラです(だからこそ買い逃しが生じるのですが)。まあ、オーディオ的に聴けば、レンジは狭いし、音像は中央に寄りがちだし、打ち込みだし、で いいところがあまりないのです。ハイエンドな方々に白い目で見られるような、シャカシャカサウンドに近いものはあります。正直で分析的な面のあるAE2Signatureで聴くにはちょっと厳しいかな。音像も大きめだしなあ。
世間では 宇多田ヒカルと比べられることが多いと思いますが、録音は 故長岡鉄男氏から優秀録音版に推薦された宇多田アルバムに比べれば、多少 見劣りしますねえ。ただ・・・歌の上手い下手や録音の善し悪しなどこの際 放っておきましょう。理由はよくわかりませんけど 気に入っているんです。
詩がいいんですかね(作詞は全曲 倉木麻衣本人)。適当に英語混じりで素直な詩が、です。
最近じゃ 平井堅や椎名林檎のメロディも悪くありませんが、変な韻を踏んでいたり、強引に当てはめたような英語まじりの歌詞がどうもなじめないのですよ。桑田圭祐レベルまで達すればまた別なのですが。倉木論は他のサイトに任せましょう。私よりも遙かに熱く若いファンが星の数ほどいるはず。
ただ願わくば、テレビには出ないで、そしてシングル曲を速いペースで発表しないで 欲しいですねえ。今がピークで 20歳になったらただの歌手、ではちょっと寂しいものがあります。ブレイクして欲しくなかったなあ。
Algum / Dai Niioka
Dai Niioka:g
(1)Opus310 (2)Shadowy Key (3)蘇州夜曲 (4)Koppe (5)六番町ラグ (6)Crescent Moon (7)Goosefoot (8)Anji (9)Lefty (10)Ragamuffin (11)It's Only A Paper Moon (12)We're All Alone (13)Stray Cat Two-Step (14)春からの招待状
「Aligum」とはシェバの女王が古代イスラエルのソロモン王に贈った木材のこと。
なにせCD番号もレーベルもわかりません。おそらく自費制作盤(もしくはそれにかなり近い)と思います。ただ、ここ1〜2年で買った中では5本の指に入る好録音CDです。どんなシステムで聴いてもよく聴こえるということからすればリファレンス向きではないのかもしれません。
ギター(ラルビーC-19)一本での演奏ですが、その生々しいこと! 録音はYoshio Ishiwatari氏。選曲もジャズあり、ポップスあり、服部良一ありとバラエティに富んでいます。内容もテクニックも素晴らしいし、これは推薦しないわけにはいきません。通常は中川イサト氏の70年代の曲である(1)と服部良一氏の名曲(3)で試聴していますが、1曲1曲が短いこともあり、個人的にはどれでも可です。
以下ライナーノーツからNiioka氏ご自身の記述です。
「Alugumのレコーディングはギターの木の響きをうまく録ることはできないか、というところから始まりました。弦の芯の音を出しながら残響が柔らかく自然で心地よい音を目指し、ラインの音とマイクの音をミックスするという方法になりました。使用した楽器の固有の音を大切にしたかったため、マイクやスピーカーなどの音響機材にも細心の注意を払うことによりアコースティックな音を得ることができたと思います。(以下続く)」
どうです。どうです。すごくいいように思えてきたでしょ。Dai Niioka氏のこともっと知りたいですねえ。どなたかご存じの方いらっしゃいませんでしょうか。秋葉原ヤマギワのオーディオフロアで購入しましたが、CD売場は既にありません。どこに行けば買えるのか・・・。CDにある唯一の連絡先は「新岡ギター教室 青森市小柳2丁目15-10-1 Tel. 0177-42-3944」となっていますので、ここに問い合わせないといけないかもしれません。
Bass, Bass, Bass, Bass, Bass & Bass / オルケストラ・ド・コントラバス
KICC 245 King (1998) / 2,800円(1)Tango (2)Bass, Bass, Bass, Bass, Bass & Bass (3)Bon Voyage (4)Le Mystere des Bios Vulgaires (5)Artificial Paris (6)La Pompe (6)Corps de Muse (7)Corps de Muse (8)Touetatou (9)Une Vie Simple
ベースの低音を売りにした企画ものCDが何枚か発売され、ちょっとしたベース低音ブームになりました。これはその先駆けとなった1枚です(ただ、これは企画ものではありません)。試聴会で始めて知ったCDなのですが、一聴気に入って、帰りがけに購入。こういう普段聴く機会のないCDに巡り会うと、ちょっと儲けた気になります。オルケストラ・ド・コントラバスは1981年に設立されたフランス人6人からなるコントラバス・アンサンブルなのですが、内容から言って、ジャンルがクラシックかジャズか迷いますね。実際店によって、クラシック売場にあったりジャズ売場にあったりするのです(CDの帯はクラシック/ジャズ)。確かにこのCD、全体的に聴けばクラシックですが、分類分けが難しい曲もちらほら。ただ、ジャズではないと思いますよ。
小型スピーカーをあざ笑うかのような低音、セッティングが露見する奥行き感などオーディオチェック用には重宝する一枚です。我が家ではこのCDの低音感は味わえますが、40Hz以下の低音はDG28で補正しても再現できません。また、壁面からの距離を十分取ったときのハイエンドスピーカーが表現するようなステレオイメージ(奥行き感)も十分表現できません。奥行き感の再現は我が家で最も苦慮するところなんですよね。都内のオーディオ店ではこのCDを試聴版として「音派(ジェフ・ロウランド派)」か「音楽派(レビンソン派)」か判断していました。私は音派でしたけど。
格調高い曲よりもおちゃらけた(エスプリ漂う)個性派の(2)が好きです。ボディを叩いてヒップホップ風のリズムを作り出し、合間に入ったE弦を叩く音がコード感を臭わせます。ベースラインにはアルコ(弓を引く奏法)を用いてシンセ・ベースのようなサウンドを狙い、ハーモニーはスピカート(弦の上をバウンドさせるようにする奏法)を交えてスピード感のあるサウンドを出しています。そして一瞬リズムのソロになったかと思うと、ラジオノイズのようなサウンド(SE)でクラシック風のアンサンブルが挿入され、曲の終わりは「ヴァスン」という楽器が心配になるような音。(参考:坂本信氏 ライナーノーツ)
どうやって演奏しているんでしょうね。
来日公演を聴きに行ったアマチュアベース奏者の知人に感想を求めたら、「すごいテクニックだったけど、コミックバンドだった」といってました。そうなのか???
Waltz For Debby / Bill Evans
VICJ-60141 Victor(1961)Bill Evans: p、Scott Lafaro: b、Paul Motian: ds
(1)My Foolish Heart (2)Waltz For Debby (3)Detour Ahead (4)My Romance (5)Some Other Time (6)Milestone (7)Waltz For Debby (8)Detour Ahead (9)My Romance (10)Porgy (I Love You, Porgy)
なにを今さらの「ビル・エバンス・トリオ/ワルツ・フォー・デビィ」です。実はリファレンスとして、こうした超有名盤を用意しているというのはオーディオ機器の試聴では非常に便利。どこの店にも置いてありますし、自宅のシステムとの差を把握するには好都合でしょう。
ただし、これはXRCD盤。発売当初(1998年春) OJC盤との顕著な違いに驚いて、とある有名BBSに投稿、なんの反響もなく悲しい思いをしたことを思い出しました。もっともその後数ヶ月してXRCDが話題に上り始めたようですが。
説明が前後しますけど、XRCDというのはExtended Resolution Compact Discの略で、JVC社の提供するマスタリングおよびディスクの製造過程を改善することで高音質化を実現したCDのこと。値段は3,800円前後と安いディスクではありませんが、ソフト自身で欠落したものはその後の機器がどんなに立派でも再生できません。XRCDに限りませんが、最近のリマスタリング技術は目を見張るものがありますので、私は今では積極的な買い換え派です。さて、このソフト自体は1961年6月25日のヴィレッジ・バンガードというクラブでのライブです。同日の録音にこれまた有名な「サンデイ・アット・ザ・ヴィレッジ・バンガード」という盤があります。でも私、こちらはあまり好きじゃないんですよね。ビル・エバンスのピアノが翳りすぎている気がするのです。やはり「ワルツ・・・」の方がGood!
全曲いいのですが、オーディオでの試聴曲はいつも「マイ・フーリッシュ・ハート」。ビクター・ヤングの作曲したポップスの面影はありません。ビル・エバンスのちょっと愁いを帯びたロマンティックなピアノ、ビンビンと響くスコット・ラファロのベース、ロールも鮮やかなポール・モチアンのドラム・・・インタープレイで有名な盤ですが、私はそれよりも原曲の随を抽出したメロディラインとオーディオならではのバランスを保つベース音を堪能しています。
ちなみのタイトル曲の「デビィ」はビル・エバンスの兄嫁の名前って知ってました? ライナー・ノーツに書いてあったみたいですが、私は一昨日知りましたよ。(2000/08/12記)
Live Around The World / Miles Davis
Warner Bros.9362-46032-2(1996)Miles Davis:tp、Kenny Garrett:as、Foley:lb、Adam Holzman:key、Benny Rietveld:b、Marilyn Mazur:per、Ricky Wellman:ds、他
(1)In A Silenty Way (2)Intruder (3)New Blues (4)Human Nature (5)Mr. Pastorius (6)Amandla (7)Wrinkle (8)Tutu (9)Full Nelson (10)Time After Time (11)Hannibal
あるミュージシャンがいて、その人のアルバムを3枚聴いて気に入らなかったら、もう合わないと判断しても当然でしょ。私にとってはマイルス・デイビスがそういうミュージシャンなんですよね。
「デコイ」を聴いてそのつまらなさに愕然とし、「ハイハット・オール・スターズ」を聴いて冗長なアドリブと音の悪さに呆れ、「クールの誕生」を聴いてジェリー・マリガンを生かし切れなかったことに泣きました。山ほどのアルバムの中で、セレクションが悪いといえばそれまでなのでしょうが。そんなこともあって、積極的には聴かない(買わない)マイルスですが、この一枚は別。マイルス・デイビスの最晩年のワールド・ツアーを収録したものです。
確かダイナミックオーディオのマラソン試聴会で、評論家の朝沼予史宏氏がこれをかけたんですよ。いやあ、耳を奪われました。引き込まれました。その時のシステムなんて全く覚えていません。ただ、曲の素晴らしさだけは焼き付いたのです。買いに走りました。しかし、この最晩年のアルバムを誉める人にはほとんどいません。論調も見たことがありません。それでもマイルスといえば私にとってはこれ、この一枚だけなんです。黄金期の発掘は今後の楽しみにしておきましょう。
オススメは「ヒューマン・ネイチャー」と「タイム・アフター・タイム」。「なんだよ、両方ともポップス上がりじゃん」と思われた方は尚のこと聴いて欲しい。ろうそくの燃え尽きる直前の輝きがここにあるのです。(2000/11/01記)
このJazz CD、ジャケットだけ見てピンときて、けれどもなかなか手が出ず後々購入したものです。「手が出ない」という感覚は意外に正しいものがあって、数回聴いてダメ出し。長く(2年弱)CD棚に陳列されたままになってしまいました。
最近になって、自分のオーディオシステムもなかなかいい具合になってきたものだから、死蔵されていたCDを聴き直したんですよね。するとこのCDがとても良い。ただし、1曲目の「How Innocent We Are」だけ、突然変異的に頭抜けて良いのです。極めてメロディアスなんですよ。
録音地はスウェーデンで、上の下の出来。北欧らしいといえば確かにそうですが、いわゆる最近のジャズを引きずっているので、エネルギッシュで汗を感じたいなどという人には全く向きません。全編オリジナル曲と言うところがまた怪しいでしょ。では、どういう人ならオススメできるのか。
後は、このホームページを信じた音楽雑食の人、かな^^。
ちなみに99/11/12の感想ではこんなこと書いていました。感想を書いていたこと自体忘れていたよ。
一度中古で見かけその時は買わなかった。ただジャケットが気になって仕方がなく、吉祥寺で新品を購入。裏ジャケがベースだったのでリーダーはベースかと思ったらピアノだった(よく見れば書いてある)。
このCDはオーディオ映えする北欧ジャズ。効果音を利用した (2) (9)のように少々前衛がかった曲もあるし、正統派ではないので50年代好きにはなじめないと思う。僕は・・・う〜ん、こういう隙間の多いジャズはどうも・・・。(1) (6)は悪くない。(991112記)
(2001/09/07記)
vendrredi 14 / Luigi Trussardi
例えばこのアルバム、スキャットあり、正統派ボーカルあり、コンボあり、漠然と聴いていたら最後の曲「245」を聴くまで誰がリーダーかわからないんじゃないでしょうか。選曲もk.クラークの「Sonor」やB.ゴルソンの「Along Came Betty」、S.モンクの「Ask Me Now」に混じって、各メンバーのオリジナル曲がちりばめられています。ジャケットからしてそんな感じが漂うでしょ。
これが極めて良い。メロディラインが明るく楽しい。普段はvo.混じりのアルバムなんか聴かないし(メンバーは歌ったり唸ったりしてはいけないと信じ切っています)、そもそも買わない私ですが、久々にヒット、というかホームランです。
リーダーのルイジ・トラサルディはフランスジャズ界を代表する名サポーター。録音がものすごい良いわけではないけれど、これは一枚まるまる音楽が楽しめます。
(2001/11/01記)
Georges Arvanitas Trio / Cocktail For Three
1959年パリ録音
澤野工房 SK05 / 2,381円Georges Arvanitas:p
Gene Taylor:b
Louis Hayes:ds(1)Cocktail For Three (2)Everything Happens To Me (3)Algo Bueno (4)Airegin (5)Mean To Me (6)Tune Up (7)Bluesy Blues
この一曲が入っていたら買う、あるいはこの人が演奏していたら買う、ということありませんか? 私の場合、この人というのは 主にバリトンサックス奏者のジュリー・マリガンなのですが、曲は数曲あるんですよね。その一曲が4曲目の「Airegin」です。多分これがなかったら、この盤は目に止まらなかったでしょう。ジョルジュ・アルヴァニタスのCDも持っていなかったし。(SACDでマイルス・デイビスと並んで、アルヴァニタスのディスクが発売になったときは何で?、という感じでした。)
店頭で試聴できたのも幸運でしたが、コレハイイ!と思いました。本CDはアルヴァニタスの二枚目のリーダーアルバムで、ホレス・シルバーのリズムセクションを従えています。
1950年代らしいハードバップピアノが炸裂し、オリジナル曲もいい感じ。もちろん「Airegin」もグッド。アルヴァニタスはフランス人で、この盤もパリ録音なのですが、昨今のヨーロッパ盤とは違う上品な力強さです(リズム隊はちょっとだけ遠目ですけどね)。派手じゃないんですよ。発売元の澤野工房は、最近ではヴィーナスレーベルに並ぶ国内ブランドではないでしょうか。ちょっと私自身 どうかな?と思う(好みじゃない)CDもないわけではないのですが、注目レーベルであることは確かでしょう。
(2000/10/04記)
Yancy Korossy / Identification
1969年Villingen録音
MPS POCJ-2630 / 1,835円Yancy Korossy:p
J.A.Rettenbacher:b
Charly Antolini:ds(1)All The Things You Are (2)Bye Bye Blackbird (3)Sorrow (4)Stella By Starlight (5)Identification (6)I Can't Give You Anything But Love (7)I'm On My Way (8)Stompin' At The Savoy
ピアノを弾いているのはルーマニア人出身のヤンシー・キョロシーです。これは彼がドイツ亡命中に吹き込んだ作品。LPでは激レア盤らしいですが、まあ恐らくCDでも将来的にはレア盤となる一枚でしょう。買うなら今のうちです^^。(実は本当は名前の英字つづりが違うと思うんですよねえ。わかりづらいと思いますが、ジャケットをよく見てください。Korossyの「O」の上に点が二つ付いてるでしょ。)
内容は実に多彩。そして1960年代後半という時代を感じさせます。
アップテンポの(1)に始まり、ファンキーな(2)、ヤンシー オリジナルのR&B(3)(これがいい!)、好きではないけれど60年代という時代の息吹を感じるオリジナル曲(5)、一転 スイング感あふれる(6)、そしてフュージョンアレンジにフリーを絡めた(7)など。この中でも、好き嫌いの曲が激しいと思うのですが、それでも1,835円はお買い得でしょう。(1)がいいという人は(7)は受け入れられないでしょうね。
私はこの一枚しかヤンシーを聴いたことがないのですが、多彩が故に認められなかった、そんな感じを受けました。(6)の曲名、日本語訳は「捧ぐるは愛のみ」です。思い込みとは恐ろしいもので、私は今回この紹介文を書くまで「捧ぐる」を「棒ぐる(ぼうぐる)」と思ってました。原題を見れば一目瞭然なのに、辞書まで引いて「ぼうぐる」なんてないなあ、「ぼうぐる」って固有名詞かな、なんて考えていた自分が恥ずかしいです。
いやあ、大怪我する前に気付いてよかった^^;。(2000/11/16記)
Andre Previn、Gerry Mulligan、Carmen McRae / The Subterraneans
Sony Music AK47486Andre Previn:p、Carmen McRae:vo、Gerry Mulligan:bs、Red Mitchell:b、Dave Bairy:ds、Russ Freeman:p、Bob Enevoldsen:tb、Shelly Manne:ds、Art Farmer:tp、Buddy Clark:b、Art Pepper:as、Bill Perkins:sax、Jack Sheldon:tp
(1)Why Are We Afraid (2)Guido's Blackhawk (3)Two By Two (4)Bread And Wine (5)Coffee Time (6)A Rose And The End (7)Should I (8)Look Ma, No Clothes (9)Things Are Looking Down (10)Analyst (11)Like Blue (12)Raising Caen
神様っているのね。
このソフト、5年ほど探しておりました。そして大阪のCDショップ「ミュージック・マン」で見つけました。誕生日の日に、です。こういうものはレア盤ですが、需要もないので安いんですよね。1,300円也。
見つけたときは、思わず声がでましたよ。1991年にCDとして再発されてから、すぐに廃盤になってしまったのですから。私の知る限り国内版のCDはなし。このCDは「地下室の住人」という映画のサントラ盤です。マリガンが参加していることは前々から知っており、原盤を新宿のコレクターズで7,000円くらいで見かけたこともあるのですが・・サントラはかったるいという印象が払拭できず、またいつかもっと安い盤に巡り会うだろうというこそくな考えもあって、購入しませんでした。
ところがそれから探しても探しても全く見かけない!
なんで急に真剣に探し出したかといえば、右のシングル盤(なんとドイツ盤)を聴いたから。神保町のアディロンダックで4,000円くらいだったでしょうか。
裏ジャケットを見るとその参加メンバーに驚きます。マリガン、ファーマー、アート・ペッパー、ラス・フリーマン、バディ・クラーク、そしてデイブ・ベリー。マリガンとアート・ペッパーは共演したことあるんですね。
このシングル盤の中に「地下室の住人」の(9)と(4)が収められていたのです。共にアンドレ・プレビンの作曲。
これが意外にいい!CDは全編ジャズコンボではありませんが(with オーケストラが1/3ある)、これは買って良かった一枚。
プレビン・プロデュースのサントラ盤は外れが少ないですね。ちなみに寺島靖国氏は氏の著書「感情的JAZZコレクション」の中で(7)を絶賛しています。発見だったのがカーメン・マクレエが歌った(5)。顔が怖いのでマクレエを聴いたことはなかったのですが、非常にいい声、優しい声なんです。聴かず嫌いはいかんですね。
CDとシングル盤の聴き比べもやってみました。けど、すぐに止めました。これはどちらがよいという物ではなく、全くの別物。我が家のアナログには明晰なCDとは別のリアリティを求めているので、これはこれでいいのです。
(2001/03/18記)
9/2に高野山に行ってきました。言わずと知れた真言密教の聖地・高野山金剛峰寺を中心とした街です。大阪に来たときから行ってみたかった場所の一つでした。
出かけてみれば我が家からは電車・バスで3時間弱、それほど遠い場所でもありません(3時間の移動などモノともしない身体になった!)。昔、東京から高野山手前である橋本/五条に仕事で出向いたことがあり、妙に遠い印象ばかりがこびり付いていたようです。奥の院御廟、奥の院参道、苅萱堂、金剛峰寺、壇上伽藍、そして大門と例によっての徒歩観光。曇り空で時折霧雨の降る情景が一層の清々しさを感じさせます。
しかし実にいいところです。ここで言う「いいところ」には二つの意味があります。
一つは変に観光地化されておらず、けばけばしいネオンもない普通の山間の街だから。寂れた感じもありません。旅館やホテルはなく、ここでは宿坊が唯一の宿なのです。
もう一つは祈りを感じる場所だということ。こういうところは大阪に来てから初めてですね。奥の院で、金剛峰寺で高野詣の人々に会いましたが、彼らの唱える般若心経の朗々とした、深く、重い、響き・・・頭の中ではブルガリアン・ヴォイスの「美しいミルカ」が流れていました・・・。
我ながら珍しい合唱曲のディスク紹介ですが、たまにはいいでしょう。文字通り、ブルガリアの女性24人を中心とした合唱団(ブルガリア国立放送合唱団)のディスクです。この「RITUAL」は宗教歌ではなく、祭り歌・儀式歌を集めたもの。1曲目の「美しいミルカ」も、クリスマスに若い美しい娘に向かってうたう歌です。
「唱う」と「歌う」。般若心経と同等に扱うべきものではないですが、なぜ脳裏に浮かんだかは聴いてみればわかるはず。もちろん好録音盤ですし、ジャケットデザインもちょっとポップで洒落たものです。RITUAL / ブルガリア国立放送合唱団(ブルガリアン・ヴォイス)
WPCS5137 ワーナーミュージック(1993,94 録音)(2001/09/05記)
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